英南部オックスフォード近郊のブレナム官殿で、美術品として特別展示していた「黄金の便器」が盗まれた。66歳の男が事件に関与したとして逮捕された。が、イタリアの現代アーチストが制作した18金製、作品名「アメリカ」、約5億4000万円以上の価値があるというが見つかっていない。貧富格差をテーマとして、用を足すのに財力は関係ない、とのメッセージが込められていた。9月12日から10月27日の期間中、来場者が使用できるようになっていたという(9月16日 読売新聞より抜粋)。私は以前、茅ヶ崎の知人ご夫婦が経営していた不動産屋さんのポスターを制作してあげたときのキャッチフレーズを思い出した。それはどんな大金持ちの“ウンコの色”と、どんなビンボー学生の“ウンコの色”も変わりはない。背伸びせず、身の丈にあった物件選びをと。短くキャッチフレーズ化した。「金持ちのウンコは金色ではない」。ご夫婦はポスターを見て、キャッとオドロキ、2、3日貼って、やめた。皇帝ナポレオンの色と、ロスチャイルド家やロックフェラー家の人々の色と、金髪のドナルド・トランプの色と、我らと違いはない(濃い薄いとか、固いやわらかいの差はある)。先日、イングランド女王と、スコットランド女王の確執をめぐる映画を見ていたとき、王妃がトイレに行きたくなる。しかしやたらに服の下に服、その服の下にガッチリ固められたコルセットやガードル。玉ねぎの皮をはぐみたいに従女たちが急いで脱がすというより、はがしていく。早くせよ! 早くして、おねがい早く! となった。やがて女王二人の内一人は断頭台で首を切り落とされる。別にトイレのせいではない。権力闘争のせいである。大金持ちも、我らビンボー人も、腹の調子で「軟便は何便も出る」。私は思う。「ウンコ」は平等だとの精神を、全世界の人々が持てば、世界は平和になる。日本の戦国時代、“早メシ、早グソ、武士のたしなみ”と言われた。戦場でゆっくりと用を足したりしていれば、首を切り取られてしまうからだ。サラリーマン社会では、トイレの長い人間は出世をしないと言われる。ケツの軽い人間はダメだが、マンガの本かなんか持って、ずっと出て来ないケツの重いのはダメ。ヤルべきことはさっさとヤル人間が求められる。トイレ内でスマホでゲームをやったり、メールのやり取りをしたりしているに間に、人事異動で飛ばされてしまうだろう。そのとき、クソッ! と怒っても自業自得となる。連休の間、秋葉原からつくばまで行ったり来たりした。イベントの取材と撮影であった。つくばエクスプレスでつくば駅に着き、小用のためトイレに行くと、壁に貼り紙がしてあった。そこには“禁煙” “禁スマホ” “禁食事”と大きく書いてあった。聞けば、学生たちがトイレ内で、この三つをするからとのことであった。トイレ内で食事をする奴はどんな学生だろうか。そうそう、もう一つ小さく書いてあった。“変な落書きをしないでください”。この文字はどうも学生が書いたような文字だった。休み中によく働いたので、きっと「運」が回ってくるだろう。ちなみに盗まれた「黄金の便器」は、米ニューヨークのグッデンハイム美術館の所蔵である。もう溶かされて、金の延べ棒や、金の首輪になっているかも知れない。少し金の臭いがついているので(?)、すぐ足がつくはずだ。運のつきと言う。
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