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2020年1月14日火曜日

第3話「コオロギ」

私の名は「コオロギ」です。昆虫と言われています。正月明けなのに何故にコオロギか、実は私自身も不思議で仕方ないのですが、何でも食べられる今の世に、私たち昆虫食がブームとなっていると、悪食に詳しい人が教えてくれたのです。TBSテレビの深夜番組で「クレイジージャーニー」という、変食マニアに人気の番組がありました。が、ヤラセがあったと分かりいつの間にか消失しました。知人がある記事を私に見せてくれました。一月十日のことです。そこには、私コオロギのゴーフレットが、バカ売れと書いてあったのです。3枚入りで650円、8枚入りで1520円、私は栄養があり、ミネラルも豊富なので、変なもの好きのヒトとか、健康オタクとかに食べられているのです。たんぱく質がたっぷりなのも好まれているようです。変でしょ、コオロギをパリパリ食べている人って、友達になりたくないでしょ、一緒に飲んだり食べたりする仲になりたくないでしょ。私はとっつかまえられて虫かごに入れられたり、ブチュとふんずけられたり、バリバリむしられたりしていたんです。日本国はどうなったのでしょうか。新橋にある佃煮の老舗店「玉木屋」で、イナゴなんかが高い値で売られているのは知っていたけど、私コオロギは出ているのでしょうか(?) 玉木屋の中を見たいけど、見たくないのです。「バッタ」という奴もいるかも知れません。私コオロギはこの国がいよいよ終末期になっているのではと心配するのです。私はタイで食用として養殖されました。やがて来る世界人口の増加、日本人は低下、食糧危機にと育てられたのです。「蜂の子」はなんとなく分かる気がするんですが。旧日本軍の兵隊がジャングルの中で空腹と戦った。動く物なら何でも食べたと、書き残している。2020年現在私コオロギで作られたお菓子を日々食べている人を疑う。あなたはちょっと変ですね、何を考えているのと。JR高崎駅構内の土産ショップ「群馬いろは」でこの年末年始、私は飛ぶように売れたようだ。私コオロギは今、生きた心地がしないのだ。
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