十四歳の秋に女と酒を知ってから五十年。
絶好調の頃は三十年間位、毎月ウン百万・・・(?)は飲んだり食ったり遊んだりしていた。
朝しらじらと明るくなるまで飲む、小さな子供の教育に父親の外泊はマズイのでどんな状況でも茅ヶ崎までタクシーや白タクで帰った。
一日に二カ所でゴルフコンペがあったりすると白タクをキープして返る。
家に着く、3時頃!一時間寝るから中に入ってコタツで寝てろなんてザラだった。
湘南シーサイドカントリーから千葉の鶴舞とか、鶴舞から栃木のジュンクラシックへとか、そこから又、埼玉へ、熱海へ、はたまたハワイへグアムへ、ぐっすり眠るのはシュラフの中や飛行機の中であった。仕事や酒に熱中しながら付き合いのゴルフの両立は死ぬより辛かった。酒をたらふく飲んでゴルフ場に着くともうヨタヨタ、ヘロヘロ、ゲロゲロとなる。しかし社長業は辛い全て笑ってこなさなければならない。
三人は200ヤードからせいぜい250ヤードのドライバー。
私は280ヤードか300ヤード以上は飛ぶ。但し、その後がいけない。ミドルアイアンだめ、ショートアイアン全然だめ、バンカー滅多に出ない。パットはそこそこの様な気がしたがなんとパット第一打がOBになった事がある。
忘れもしない大宮カントリー打ち下ろし383ヤード、パー4、バシッと打ったボールはキャディーの金歯がぶっ飛ぶ程の弾道でグリーンにワンオン、下りの8メート位、オーバーすると急坂転がり過ぎるとOBだと。よしバーディーだと打ったボールはまっしんに当たり一気に穴ぼこオーバー、そのまま転がって次のホールのティグランド近くでOB。
その瞬間私はゴルフと決別しました。
五十肩でトップにクラブが上がらずにシケたパンチショットなんてやってられない。
大体ゴルフは人の失敗をやったやったと喜ばれる。約三十年やったベストスコアが何しろ42と44なんだから才能ゼロ、カモネギ、ロスのカメラマンの友人と186ヤードをサンドウエッジで乗せられるかと5000円賭けて見事ワンオン。でも私はボギーで友人はパー。
JASの旭川カントリークラブで砲台グリーンの第二打地点、まだ四人はグリーン上。
残り263ヤード三番ウッドで乗るかとチョコレート賭けてバシーン打ったらピン側5メートルでグリーン上の人間から叱られたと同時に驚きを与えた。
で上がって見ると私はダブルボギー、後の三人はパー二人と、一人ボギー。クラブをへし折りたくなってしまった。
年に二回、私の主催で春と秋40人のコンペをしていた。プロ野球人、芸能人、相撲取り、クラブのママやホステスたち一組に必ず美人を入れる。ホストの私は当然最終組。優勝はバブル絶頂期グアム旅行から箱根の強羅温泉まで、いたれりつくせりの豪華賞品ズラリ。だからどのコンペよりも大人気の一泊付き。
現役のプロ野球選手のドライバーなんて地べたをはってそのまま急上昇して行方不明380ヤード飛んだ奴がいた(フラットで)。芸能人、ホステスたちはファッションで魅了、芝のゴルフ練習場でよく練習しているので球が曲がらない。150ヤード、120ヤード、60ヤード寄せてパーかボギー、白いスカートに花柄のパンツなんか履いてすっかりみんな調子が狂ってしまう。
三十年間でウン千万円は使ったと思う。
何しろ私は人に奢られるのは絶対ダメ、全て自腹を切るので。でも十五年前からプッツリ止めました。道具はニューヨークで買った愛用のトミーアーマーのクラシックタイプ、キャラウェイ、マルマン、本間、大好きだったパワービルト全部人にあげました。さらばゴルフです。
一番屈辱的だったのは軽井沢72で一泊でコンペをやった時、朝起きたら部屋の外に私とあと二人寝ていた事です。何でも二人の鼾が酷くみんなで廊下へ運んだそうです。
私とゴルフについての三十年を書くと間違いなくベストセラーになります。何しろ420ヤード、森超えをワンオンしてトリプルボギーにしたんですから。
富士高原の事でした。人が崖下にボールを落とすと上から出ますかあーなんて見張っている奴、空振りすると、いい音聞こえましたよなんていう奴の多いこと、チキショウ、金でも銀でも銅でもダイヤでも持ってけと行ってサヨナラしたのです。
石川遼はきっと長生きしません。運を既に使い果たしてしまいました。
ジ・エンドになります。ボクシングの大場政夫の様に。(勝運は残しとけと云います。)
私のメンバーコースだった湘南カントリークラブの17番池越え176ヤード、ピンは池の近く4メートル位、友人三人とサンドエッジで乗るかと賭けた。カチンカチンの固いトミーアーマーのサンドエッジでバシッと打った。
見事ピン上3.5メートルにワンオン、後の三人は五番が二人、六番が一人、三人共見事ワンオン。みんな私より遠い。それぞれいいところに寄った。
で私がコツンと打つと球はコロコロ池の中、後から打ち直しなんだよこれと泣きが入っていよいよゴルフとサヨナラだけが人生となりましたのです。
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