2012年夏、少年少女合唱隊の声は東京日比谷野外音楽堂のステージから流れた。
3.11以降すっかり歌を忘れていた人々の心に染み渡った。
私がお世話になっている広告代理店、フェザンレーヴの社長大泉勉さんから電話があったのは金曜日であった。
日曜日の午後、日比谷の野音に仙台の少年少女合唱団を呼んだんだ、ぜひ聞きに来てよとの事だった。
南こうせつの野外コンサートの真ん中にその少年少女合唱隊が登場した。男女合わせて40人位であった。
伊勢正三やイルカ、南こうせつの名曲の後会場は正に水を打った様に静になり歌い終わると万雷の拍手の渦となった。
なんだか出来すぎた青春映画のワンシーンの様であったが実話である。私も思い切り手を叩いた。
その少年少女達が通学した学校は仙台市八軒中学校、熱心な先生の指揮の中で沢山の表彰を受けている合唱隊の名門校だ。
大泉勉さんは震災にあった仙台に支店を持つ、傷ついた被災地の人々の心を癒す事はできないかとずっと考えていた。
ある日NHKの番組で少年少女を知った。そして直ぐに交渉を始めぜひ日比谷へと熱意を語り実現したという。
そしてCD化したのだ。勿論ビジネスは度外視しての事という。その行動力に敬意を持った。
私の処にいた新人デザイナーの高橋舞ちゃんが仙台へ行き広瀬川の辺りで少年少女を撮影しCDジャケットのデザインをさせてもらった。その歌の名は「あすという日が」静かに聞くと静かに泣けて来る。熱く聞けばこぼれる涙が熱く感じる。
3月25日(日)TBS夜11時〜11時半「情熱大陸」でその歌の世界が放送される。是非観ていただきたい。
一人の広告マンの情熱と少年少女とそれに関わった人々の情熱を。被災地の方々に一人でも多く聴いて貰いたい。
その方法を私は考えている。第二次大戦後の焼け跡の大地に流れた“リンゴの唄”が国民に生きる希望を与えた様に。
この世の生き物の中で希望を持てるのは“人間”だけなのだから。
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