プロの役者という職業の人は凄いと思う。
まったくオンチの人が歌手の役につくと、しっかり歌手になりきって唄ってしまう。
まったくカナヅチの人が水泳の選手の役につくと、
ちゃんと泳いでしまう。役をもらえば役になりきるのだ。
私の知人が学生時代の友人の映画監督からピンク映画への出演を頼まれたことがある、そんな話で飲む場が盛り上がった日がある。
目の前に美しく肉感的な女性が横になっている、ヨーイスタートの声と共にカチンコが鳴る。さあ、本番となったら役に立たせるモノがすっかり縮こまってしまったそうだ。何しろ周りには何十人ものスタッフがいるからだ。
つくづくラブシーンを演じる役者さんは凄いと思ったそうだ。
思うに私たちも人生という劇場の中で、それぞれ役を与えられてそれを演じているのだ。いい役、嫌な役、汚れ役、損な役、おいしい役、格好いい役、悪い役。
過日東映の大部屋俳優の福本清三さんという方が海外で大きな賞を受けた。
福本さんは中学を出てから東映に入社以来60余年斬られ役を演じ続けた。
斬られた数は5万回以上とか、その自叙伝みたいな映画が評価された。
すばらしいではないか。
あるAV本番専門男優は、5万回以上がんばった、というより楽しんだと信じがたきことをいっていた。生玉子と山いもを食べ精神を統一し、神聖な気持ちとなり演じるのだと。
80歳近くなった今も生玉子と山いもを食べて女体に挑んでいる。
まあこの人の話は福本さんと違ってマユにツバをしている。
さて、私といえば人生劇場の中で与えられた役がいまだによく分からないのだ。
あらかた殆どの役を演じたつもりだが、どれが主たる役であるか?麦とろに生玉子をのせたメシでも食べてしばし人生を振り返ることにする。
このメシには何よりメザシが会う。あなたはどんな役を演じてますか。
同じ役を演じられますか、5万回。
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