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2015年11月9日月曜日

「炭水化物」




一つの結果がある。
岩手県において10分間で“わんこそば”を何杯食べられるか大会が昨日あった。
優勝者は三連覇を成し遂げた、他県から挑戦しに来た40代の中肉の体型の男性。
食べたというより押し込み飲み込んだ数は、10分間でなんと338杯だ。

1分は60秒だから10分では600秒、計算して下さいそのスゴイこと。
赤いお椀を持ったオバサンがヨーイドンと共にハイ!ハイ!ハイ!ハイ!とそばを落として行く。男はそれを二本の箸でワッセ、ワッセ、ワッセと口内に運ぶ、口内暴力のようだ。

これからは想像だが、ある者はそばがノドに詰まって呼吸困難に、ある女性は両の目から涙を流し、鼻水も流し遂にはゲップと共にそばを放出する。
ある男性はそばが口の中から鼻の中に侵入し、それが両の鼻の穴から出て来てしまう。
観客はギモチワルイとか、キタナイとかいって顔をそむける。
ギャーという喚声が上がった。
オジサンが口いっぱいに入れたそばを一気に口から吹き出して、目を白黒させてその場にうつ伏せてしまい、出したそばが若い女性にひっかかってしまったのだ。赤いお椀を持ったもんぺ姿の女性たちは無表情におそばをオリャ、オリャ、ハイノ、セイノ、ハイ、ハイ、ドリャーと落とす。
多分本当の現場は私の想像を遥かに超えているはずだ。

新宿にある花園神社の酉の市に行った時、お化け小屋とかヘビ女というのがいた。
500円出すと青大将の兄貴分のような一匹のヘビを口の中から入れて鼻の穴から出して見せた。頭と後の部分を持ってゴシゴシと鼻の穴を掃除した。
今年は三の酉まである。
なんだか鼻の穴がムズムズして来た。くれぐれも火の用心を。

600秒でわんこそば338杯食べた40代の男性はすこぶる誇らしげであった。
来年もまた優勝するぞ、そんな風に私は見えた。
私がお世話になっている名医の患者さんが、炭水化物を食べるのを止めたら体脂肪38の人が18になったとか。体重が15kg減った人の話を思い出した。

♪〜あなたの決しておじゃまはしないから“おそば”に置いてほしいのよぉ…なんて歌を思い出した。
おそばのない人生なんて、うどんのない人生なんて、ごはんのない人生なんて、パスタやパンのない人生なんて悪夢だ。
ざるそばは海苔だけとなり、きつねうどんは油揚げとネギだけとなり、スパゲッティミートソースはミートのみになり、ハムサンドはハムだけ、カレーパンはカレーだけになるではないか。

人生はご飯を食べるために働いているのにその目標が消えてしまう。
人生はおかずを食うためにあるんだってことになる。
ベスト体重を2.5kgオーバーしているのだが、炭水化物は我が友、我が力、我が人生なのだ。

でも今日はワンタンメンから麺を抜いてワンタンにするか、雲呑とかいてワンタンなのだが、スープの中をホニャホニャ浮いているので今ひとつ雲を掴むような手応えのない代物なのだ(レンゲで食す)。麺と一緒なら幸せなカップルなのである。
で、わんこそばだが、そばを抜くとツユとお椀だけとなる。

先週金曜日仕事場に訪ねて来た炭水化物ダイエットに成功した愛する後輩は、カツ丼が夢に出たという。長身でプニョプニョとしていた体は15kg減って実にスレンダーになっていた。血液検査の数値は全て正常値になったという。
今度あったら目の前でカツ丼を食べてやろうと思っている。

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