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2019年11月15日金曜日

「坂内ラーメン」

次の人は長生きする。権力欲、金銭欲、名誉欲、物欲、食欲、そして性欲のある人だ。男は50代、60代、70代となると前立腺癌になる危険性が増す。そのいちばんの予防法は、週に一度か二度は射精することだと医学は教える。性欲がある人が長生きするのは、人より射精することが多いからだ。射精の方法論は人それぞれで決まりはない。風俗通いや浮気もその一つだが、恐い奥方を持った人は十分に気をつけねばならない。女性は臭いに敏感だから。一日一回は放射するという豪の者を知っている。この男は決して前立腺癌にならないだろう。人間は食欲がなくなったら終わりという。巨人軍の監督だった故川上哲治や故黒澤明監督などは、90歳近くになっても、日々600gぐらいのステーキを食べていたと伝えられる。名優仲代達矢さんは80を大きく過ぎた今も、ステーキ、ステーキ、ステーキを食べていると何かの記事か、インタビューで知った。私が憧れるのは無欲の人である。昨日、権力欲、金銭欲、名誉欲など一切なしの人と会った。店は五反田の「坂内(バンナイ)」という、喜多方ラーメン。頼んでおいた中国映画「胡同のひまわり」が届いたというので、受け取りに行った(胡同[フートン]とは下町のこと)。午後5時頃すでに外は陽が落ちて暗い。どこぞで一杯飲んで食事でもと思った。立ち食い寿司を探した。一貫75円という店があったが、店内を見るとマイナスオーラがユラユラしているのでやめた。その近くに坂内があった。喜多方ラーメンはいろいろあるが、私は坂内が大好きだ。太目のチリチリの麺がいい。チャーシュウが実に旨いからだ。スープはさっぱりむかし風しょうゆ味だ。ここにしようかと無欲の達人、フリーライターの人と入った。この人は12〜15kg減量に成功した。先日、血液検査を受けたら、すべて標準値以下になったと言った。もともと酒を飲むのを好んだが、それを止めたらすべてOKになったのだ。そんじゃ乾杯とフリーライターの方は、ハイボールを飲んだ。私は冷酒であった。つま味は、枝豆とチャーシュウ、ギョーザを一皿。いつものようにアレコレ楽しく話をした。このフリーライターの方といると、心が安定する。何故かと言えば、無欲だからだ。今、二冊プロデュースしている本の、ライターをしてもらっている。何を飲んでも旨いと言い、何を食べても旨いと言う。かつてはトリのカラ揚げとか、トンカツ、コロッケ系が好物であった。ソロソロ何かをとなり、フリーライターの方はネギラーメン、私はチャーシュウワンタンメンを頼んだ。店員さんはインド人のような女性だった。久々(今年初)の坂内ラーメンは期待通り、福島県喜多方の味が入り我が腹は十分によろこんだ。話はやはり先日の井上尚弥選手のボクシングの話で盛り上がった。50歳をすぎて独身、仕事があれば仕事をし、無ければ日がなゴロゴロしたり、読書を楽しみテレビを見ているとか。それ以上のものは望まない。日々アクセクしている私から見ると、夢のような生活である。前立腺癌を予防する発射行為をしているかどうか、していたとしたらその方法論を聞きそびれた。五反田は風俗店が数多いところで有名である。店を出るとその種のネオンがピカピカと妖しく輝いていた。歩いて駅に向かうと若い男が一人、若い女性が一人、どうぞとかどうですかと声をかけてきた。早く帰って「胡同のひまわり」を見なければと思った。



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