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2019年11月25日月曜日

「四本の映画と『栄光へのノーサイド』」

「ベン・イズ・バック」。一人の若者が殺人の刑を終えて帰って来る。彼には精神的障害があった。彼を迎える町の人の目は冷たい。父も妹たちも、やさしいのはやはり母親だ。母親は黒人と再婚していた。肌色の違った兄妹となっていた。精神的な病気が原因の犯罪(?)だけに、いろいろとむずかしい。この映画は一人の若者が出て来た複雑なドラマを追う。母親役のジュリア・ロバーツがいい。「ガルヴェストン」。一人の仕末屋がいる。男の胸にはすでにレントゲンに大きな影、肺癌である。組織はその男にある仕事の仕末を命令する。男が追って行った先には若い娘がいた。男と娘は二人で逃避行をする。いつからか、せき込む男に心を許していた娘は、自分を抱いてもいいと言う。が、しかし病魔に犯された男には、その能力がない。お酒のせいよとなぐさめる娘。そして二人の先に待っていた組織の掟とは。「ピアッシング」。村上龍の原作をアメリカで製作した作品だ。泣き叫ぶ赤ん坊にアイスビックを向ける男。うるさくて仕方ない。妻は夫のストレス解消にある提案をする。SM指向のある妻の案は、ホテルにSM、OKの女性のデリバリーしてもらうことだ(殺してもOKのギャラを払って)。男はホテルの一室で女性が来るのを待つ。アイスピックで刺す練習、ロープを用意して縛る練習、馬のりになっていたぶり殺すイメージトレーニング。そして女性が現れる。緊張する男、シャワー を浴びるわと言う女性、そしてグサッ、グサッと体の一部を刺す音、シャワー室に流れる鮮血、ビックリする男、やって来た女性は自傷マニアで、自分の太モモをアイスピックでブスブス刺しまくる。勝手が違った男はかくれて妻に電話をする。殺すのよ、殺すのよという妻。さあ〜どうする。「私が棄てた女」。日活映画社の名匠あの「キューポラのある街」で吉永小百合をスターにした浦山桐郎監督の名作だ。この監督は寡作で有名だ。今どきの監督のように一本ヒットしたくらいで、すっかり有頂天になって、次々と駄作を作り続けて消えていくのとは違う。この映画には若々しい浅丘ルリ子が主役として出演している。浅丘ルリ子の相手役は河原崎長一郎だ。この映画では当時売り出し中の浅丘ルリ子と河原崎長一郎のキスシーン、ベッドシーンがあり、二人で入浴して体を洗い合うシーンまである。さすが浦山桐郎監督であって、日活本社も浅丘ルリ子を裸にすることにOKを出したのだろう。学生時代はゲバ学生だった男は、ある会社に入っていた。そこに社長の姪の浅丘ルリ子が働いていた。美男子でもなくスポーツマンでもなく、ごくフツーの会社員の男にどこか惹かれていた。ロッカールームで時々キスをしたりした。男はこの会社に入る前に一人の女性と関係を持っていた。地方出身の女性は、どこまでも純真だった。彼女は彼の子を身ごもっていた。名門の出浅丘ルリ子と結婚する貧しき元ゲバ学生。さて、この男がとった男としての在り方とは。かなり古い映画(荻窪で観た)であったが、今の再生技術はすばらしい。美しいモノクロームの階調を持つ作品がDVD化されていた。昨日日曜日もう一本「翔んで埼玉」というとんでもない映画を見たが、これは漫画以外の何物でもない。“さいたまんぞう”の“なぜか埼玉”が流れていて、ちょっとうれしかった。♪ なぜかしらねど 夜の埼玉はぁ〜  かなり名曲(?)であり私は買った。雨が降ったり止んだりスッキリしない日曜日。映画を四本見て過ごした。その間に少々の書き物と知人の本を再読した。「栄光へのノーサイド」。増田久雄著河出書房刊。増田さんは石原プロモーション出身、裕次郎さんからチャー坊と言ってかわいがられた。私は増田さんのプロデュースの映画「チ・ン・ピ・ラ」に共同出資して深く知り合うことになった。久々に電話で話をした。みなさんぜひ買って読んでください。本体1600円(税込)。増田さんは映画化を目指している(20億円ぐらい集まれば映画ができるかも)。冬は近い。(文中敬称略)

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