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2019年11月14日木曜日

「BOXINGは最高だ、そして赤いきつね」

KING OF SPORTS(スポーツの中のスポーツ)と言われるのが、BOXING = ボクシングである。リング上で殴り合って殺しても、殺されても、それを許すスポーツだからだ。モンスター(怪物)と言われる井上尚弥選手と5階級を制覇して来たフィリピンの伝説のチャンピオン・ノニト・ドネア選手との世界4団体統一世界タイトルマッチが先日あった。井上選手26歳、ノニト選手36歳、その差は10歳であった。私はどのスポーツよりもBOXINGが好きである。同じ体重(リミット)内で戦う。そのために猛烈な練習と、猛烈な減量と戦う。井上選手以前のモンスターは、内山高志選手であった。世界チャンピオンの中のチャンピオンにつけられる、スーパーの称号が与えられた。井上 vs ノニトの12R(ラウンド)の激闘が終わったあと、ボクシングファンも、そうでない人も最高の試合だったと感動した。井上選手はノニト選手の必殺の左フックの打ち方を見て憧れ、リスペクトして来た。そして、その左フックを徹底的に身につけた。登って行く26歳の井上選手と下って行くノニト選手。スポーツ紙は早いラウンドで、井上選手がKO(ノックアウト)するだろうと予想した。赤色輝くサーチライトの中、二人の肉体を見たとき、その差は歴然だった。井上選手の体は1gの無駄もなく鋼鉄のように美しい。一方ノニト選手は肉体的にたるみがあり、脇腹はゆるんでいた。私は井上選手の左ボディーが食い込んだら、それにて終わりだと思った。がしかし5階級を制覇して来た伝説のチャンピオンは、とてつもなく強かった。左は世界を制すといわれるのがBOXINGだ。左ジャブ、左ストレート、これを出しつづけないと右は当たらない。井上選手は基本通り1Rから、左、左、左と左ジャブ、左ストレートを出す。2Rに入って相方接近して打ち合いになったとき、伝説の左フックが井上選手の右目にバチーンとヒットした。今まで早いラウンドでKOして来た、井上選手の顔は、傷一つなく美しい。その顔に右目からの鮮血が流れた。この一発で眼底を骨折した。目の上はパックリと切れている。相当効いてダウン寸前。あと皮一枚深くなっていたら、ドクターストップでTKO負けだったと、試合後リングドクターは言った。井上選手は相手が二重に見えるので、ガードを高くして、傷ついた目をカバーしつつ、焦点を絞った。館内もテレビの前も騒然となった。それから高度なBOXINGの打ち合い、守り合い、足の使い合いとなった。BOXINGは0.01秒でKOできる。プロは1秒の間に10発ぐらいのパンチを出せるからだ。クリンチはない。ホールドもバッティングもない。2人ともBOXINGの教科書のように戦う。グローブの握り方、ジャブ、ストレート、フック、アッパーの打ち合い方。ダッキング、ウィービング、ヘッドスリップ、両手をクロスさせたりアームブロックでパンチを防ぐ。1秒たりとも目を離せない打ち合いがつづいた。一進一退、井上選手やや優勢の中で11Rが来た。パンチを出し合ったとき、ノニト選手のボディーが空いた。もっとも効くレバーからキドニーにかけてのところに、強烈な井上選手の左ボディが食い込んだ。フツーなら即悶絶だ。打たれてすぐに効いて、さらに効いてヨロヨロしながら、ノニト選手はヒザをついた。通常ボクサーが後でなく、前に倒れた場合は立ち上がれない。レフリーのカウントがもう10になってKOかと思ったが、大歓声の中ノニト選手は立ち上がり、相打ちを目指し左フックを打った。この感動的な打ち合いは、全世界のボクシングファンに配信された。数億人が感動したはずだ。間違いなく今年のベストマッチだろう。次の12Rは最終回、さらに激しい打ち合いはつづいた。最高峰のBOXINGだった。試合は判定で井上尚弥選手が勝った。そしてすぐにノニト・ドネア選手のコーナーに行き、ひざまづき、ドネア選手にありがとうございます(?)と言った。ドネア選手はやり切った顔で君が強かった。これからは君の時代だと語りかけているようだった。大拍手の嵐、これほど清々しいBOXINGのシーンは、長い間なかった。最強のスーパーチャンピオンだった。内山高志選手の後継のスーパーチャンピオンの誕生だった。私の仕事は減量もなく、猛練習もなく、殴られることもない。なんだか悲しくなるほど考えさせられた。私はまだ全然努力が足りないと思った(何しろ未だ生きている)。11月12日NHKの「プロフェッショナル」を見て、井上尚弥選手の人間性と幼児期よりBOXINGを教えた、父親との愛情の深さに感動した。ハードな合宿から帰ったとき、今何がしたいですかの問いに、「赤いきつね」を食べたいですと言って笑った。この商品のネーミングとパッケージのデザインのお手伝いをした、一人としてうれしかった。
PKGはじめのデザイン



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