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2019年11月21日木曜日

「重くて、ためになった一日」

“ふるいようかん”と言ったら、“古い羊羹”を連想するのがフツー。昨日、私と親愛になる兄弟分と行ったのは、“古い洋館”だった。ところは九段下靖国神社のすぐ側だ。グラフィックデザイン界の巨匠「井上嗣也」さんが是非観てちょうだいと、独特の言い回しで電話口でおっしゃった。井上嗣也さんは、本年度ADC賞(日本で一番名高いデザイン賞)のグランプリを受賞した。ADCとは東京アートディレクターズクラブのこと。九段下の目的地に着くと、外観は大きな日本家屋(旅館か料亭みたい)銀色に黒い英文のロゴタイプひとめ見て井上嗣也作と分かる。「AnyTokyo2019 Crazy Futures / かもしれない未来」であった。大きな門を入り玄関とおぼしき広い所に着くと、クリエイターの卵か(?) 若い男女たち、和服を着た番頭さんのようなおじさんが、灰色のビニール袋を持って立っている。脱いだ靴などをそこへ入れて番号札渡してくれた。建物内部はかなり古いが造りが凄い。きっと相当に地位のあった人とか、桁違いにお金があった人が住んでいたのだろう。現在は個展とか、展覧会やいろんなイベントに使っているらしい。重厚にして重層、そして重大なクリエイティブ作品が、いくつもある部屋に展示されていた(内容を詳しく書くと相当な枚数を要するので省略する)。一階、二階、そして三階の広いフロアすべてが井上嗣也さんのワールド。本当にこの人はグラフィックに命をかけている(内容を詳しく書くと相当な枚数を要するのでインターネットで検索すれば、その凄さが分かるはず)。昨日はクリエーターと次々と打ち合わせをしたり、お願いしていた作品を受け取ったりした。打ち合わせはすばらしいアートディレクター清水正己さんと、渋谷の事務所にて(まるで一流ホテルかそれ以上)。その後青山にて、グラフィックデザイン界のレジェンド浅葉克己先生の事務所へ。金色の名物的扉は先日塗り替えが終わったとかで、金ピカピカ。ある大会社の創業者に金曜日にお会いするので、浅葉先生の作品を持って行くことにして、先日お頼みした。そのときやったよ“5連覇”だと、八丈島で毎年行っている卓球大会の成績表を見せてくれた(いつもイッセイミヤケを着ている)。浅葉先生は、ポツポツと歩き、ポツポツと話す。知らない人が見ると、変てこなヒトに見えるだろう。ギラギラのイッセイミヤケを着て首からライカのカメラをぶら下げて、ポツポツ歩いている姿からは、とても卓球の大会で優勝する選手には見えない。浅葉先生は卓球命でもあるから、フツーのときはスタミナを使わず温存しているのだ。出来ているよと言って見せてくれた作品はさすがにいい。私が思っていた通りだった。それから九段下に行った(ここで兄弟分とはサヨウナラ)。その後、現台北代表処・張仁久さん(日本で言えば副大使)の講演を聞きに行く。一人の老政治家が40年近く行なっているセミナーで今日が88回目であった。「アジアの中の日本と台湾」について日本人よりうまい日本語で話してくれた(パワーポイントを使って)。浅葉先生が重い作品(額縁入り)に持ちやすいようにとお弟子さんに、取っ手をと言ってくれたが、大丈夫ですよと頂いたサイン入り著書3冊と、作品を持って出た。何だよそれ重そうじゃないのと兄弟分、重いんだが大切な作品、どうにか指先で下に落とさないように、青山 → 九段下 → 飯田橋 → 東京駅 → 辻堂 → 自宅とタクシーに乗りつつ持ち歩き、東海道線に乗り家に着いたら10本の指がぶっとくなり、感覚がマヒマヒになっていた。両肩はバンバンだが、妙にいい気分だった。最高のクリエイターと会うと、最高の気分を味わえるからだ。前日は横浜高島屋で、その昔「赤いきつね」の筆文字を書いてくれた書の達人「木之内厚司」さんと会い、お願いしてあった書を受け取った。やはり達人は抜群だった。この頃どういうわけか台湾の話が多い。香港の次は台湾と中国は狙いを定めている。フリーのライター「須田諭一」さんとある出版社の二代目社長と一緒に張仁久さんの話を聞いた(その後立食のパーティ。空腹だったのでガッツリ食べた)。重くてためになる一日であった。
セミナー会場

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