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2014年7月23日水曜日

「三面鏡に見る一面」

※イメージです


世界一の借金国ニッポンは、二度目のオリンピックに向かっている。
街を歩いていると老朽化したビルが解体されているのが多いことに気づく。

 今までは正面しか見てなかったビルが解体され側面をさらけ出すと、こんなにも古かったのかと思わされる。左も右も解体されてぽつんと残ったビルなどは哀れを感じる。
正面にはネオンや看板や張り紙などで化粧が施されているが、側面は老朽剥き出しだ。

幾つかそんなビルを見ていると、ふと我と我が身に重ね合った。
自分で自分の嫌な側面を見ることほどシンドイものはない。

かつて、嫁入り道具の一つに三面鏡というのがあった。
正面、右側面、左側面を写し、なんて私は美しいのだろうかと自分勝手にウットリしたり、なんでこんなことになっているのか、これはきっと鏡が悪いのだとつぶやきつつ、親を呪ったりしている姿をデパートの家具売り場で見た(私は若いころデパートに勤務していた)。

私がお世話になった会社が入っていた東銀座駅前のビルがあっという間に側面を露わにしていた。正面には、二階漫画喫茶、三階麻雀、四階エステサロンの毒々しい極彩色の張り紙が窓ガラスに貼ってあった。

世界の国々が正面ではキレイ事をいい、側面では自国の権益を拡大することに手を汚している。この日本国を三面鏡で見るとどんな顔立ちなのだろうか。

法の番人に聞いた話だ。
大きな門構え、立派な家屋敷に住んでいる人間は殆ど法を犯していると思っていい。
法を守り真当に生きていたなら、そんな家屋敷には住めないと。
法はそんな人の側面を守るものでもあるのだと。

大金持ちの家の一人息子として生まれた男が、それが嫌で嫌で何度も人の物を盗んでは捕まっていた。勿論わざとであった。万引きや窃盗犯には、富裕層の子どもが多いのだ。
その原因の多くは金持ちぶっている親の顔に泥を塗ってやりたいからであった。
家の数だけ問題はある。見せたくない側面があるんだよと、法の番人は云っていた。

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